- 2018-2-11
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Falcon 9, GovSat-1, SpaceX, 回収用ドローン船(ASDS:Autonomous Spaceport Drone Ship)
アメリカの民間宇宙企業SpaceXは2018年1月31日、ケネディスペースセンターから「Falcon 9」ロケットを打ち上げ、ルクセンブルグ初の軍事衛星「GovSat-1」の軌道投入に成功した。
Falcon 9はコストパフォーマンスに優れ、商業衛星の打ち上げ市場で大きなシェアを持つ。Falcon 9の低価格を支えているのが、ロケットの再利用技術だ。コアあるいはブースターと呼ばれる第1段ロケットは第2段を切り離した後、通常の使い捨てロケットのように破棄されることはない。ブースターはその後その軌跡を逆に辿るかのように地上に向かい、逆噴射しながら自身が打ち上げられた発射上あるいは洋上の回収用ドローン船(ASDS:Autonomous Spaceport Drone Ship)にピタリと着陸する姿は圧巻だ。
SpaceXは、再利用されるブースターを「飛行実績のある(flight-proven)Falcon 9」と呼んでいる。GovSat-1の打ち上げにも、2017年5月に別の衛星を打ち上げた飛行実績のあるFalcon 9が使われたが、使用されたブースターはランディングパッドへの着地ではなく、意図的に大西洋上への着水を選択、ブースターはこの着水にも見事に耐えたという。
SpaceXが着地ではなく着水を選んだのは、このブースターが最新のタイプではなく、今後の再利用予定がなかったためといわれているが、結果的にブースターの高い再利用性を実証することになった。Falcon 9 の2018年の打ち上げ価格は6200万ドル(約68億円)だが、ロケットの再利用が進み更に価格が下がることが期待される。