- 2018-3-11
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Dong Han Seo, Graphair, Nature Communications, オーストラリア連邦科学産業機構(CSIRO), グラフェン膜, シドニー湾
オーストラリア連邦科学産業機構(CSIRO)は、海水淡水化の効率を大幅に向上させるグラフェン膜「Graphair」を開発した。新しい濾過技術の効率は極めて高く、シドニー湾で採取した水を安全に飲める水に変えることができたという。
『Nature Communications』誌に発表された論文によれば、Graphairは大豆油から作ったグラフェン膜で、市販の蒸留薄膜に比べ、界面活性剤のような汚染物質を含む塩水混合物の下で優れた防汚性能を発揮する。加えて再生可能で環境に優しく、またコストも安いという。研究チームの実験の結果、Graphairなしの場合フィルター濾過率は72時間で半減するが、Graphairを付けた場合は汚染物質の99%を迅速に除去できたという。
CSIROの科学者で筆頭執筆者のDong Han Seo博士は、「世界の人口の3分の1にあたる約21億人がきれいな水が飲めない状態にある」とし、「この技術により、どんなに汚れた水からでも、シングルステップできれいな飲料水を作ることができる。」と述べている。Seo博士は、発展途上地域でフィールドトライアルを2019年にも行いたいと考えている。