川崎重工、世界最高水準の高速負荷応答性を備えた、30MW級高効率ガスタービンを開発

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年3月22日、NEDO事業において、川崎重工が世界最高水準の高速負荷応答性を備えた30MW級高効率ガスタービンを開発したと発表した。不安定な再生可能エネルギーと連系させることで、再生可能エネルギーの有効活用とCO2排出量の削減など環境負荷の低減を実現するという。

近年、太陽電池や風力発電など不安定な再生可能エネルギーの利用拡大に伴い、工場や地域冷暖房などの分散型電源・熱源として利用される中小型ガスタービンに、負荷応答性とさらなる発電効率の向上が求められている。

今回、川崎重工はNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」において、負荷応答性と発電効率を向上させるための技術を確立した。具体的には、負荷応答性を高めるためにリグ試験や実機試験を行い、高速負荷変動状態であっても安定して燃焼し、低いNOx排出量を維持できる高速負荷変動対応DLE(Dry Low Emission)燃焼器技術を確立した。また、高速負荷変動時に発生する応力の予測技術を確立し、部品の健全性をシミュレーションで確認する技術も確立した。

さらに、タービン高温化により発電効率を高めるため、TBC(Thermal Barrier Coating)のトップコート(セラミック系)とボンドコート(メタル系)の間に堅牢な酸化被膜(Al2O3)による酸素バリア層を形成。コーティング剥離寿命の決定因子であるボンドコート表面の酸化速度を50%以下に抑制することでTBCの剥離寿命を約2倍にする技術も確立した。

これらの技術により、ガスタービンの負荷応答性は従来機の10%/分から20%/分となり、無負荷状態から全負荷運転まで5分で到達可能にし、従来機よりすでに世界最高水準だったガスタービン単体効率をさらに向上させた。コンバインドサイクル発電プラント(Combined Cycle Power Plant、CCPP)システムとした場合の発電効率は、同クラスのガスタービンを用いた100MW級CCPPとして世界最高水準の55.2%(100MW)、54.4%(90MW)を達成しているという。

川崎重工は、今回の開発成果を導入した100MW級CCPPを、2018年3月に販売開始した。今後も確立した技術を用いたシステムの製品化に、引き続き取り組むとしている。

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