500MWを生む国際熱核融合実験炉の磁場コイル用クランプ、中国企業が製造に成功し出荷へ

国際熱核融合実験炉(ITER)に携わるITER Chinaは2018年6月9日に、ITERで使用するポロイダル磁場(PF)コイルを支えるクランプの出荷準備を整えて初公開したことを明らかにした。製造を担当したのは、中国のGuizhou Aerospace Xinli Casting & Forging(HTXL)だ。

ITERは核融合のエネルギーを利用するために設計された実験施設。現在、中国、EU、インド、日本、韓国、ロシア、アメリカという7つの国・地域が参加し、南フランスに世界最大のトカマク型核融合炉を建設中だ。重水素と三重水素(トリチウム)を燃料とし、500MWの核融合出力を生成できる設計になっている。2025年12月に運転開始し、2035年に核融合運転を開始する予定だ。

ITERの構成要素の1つ、リング状のPFコイルは6個(PF1~6)。ITER本体の外側に置かれ、プラズマの形や位置を制御するために用いられる。

リング状のPFコイルの幅と高さはそれぞれ違い、最も大きなコイルは直径26m、350tもの重量になる。今回、披露されたクランプは、冷却中の熱負荷や別のコイルからの電磁力に耐えつつ、コイルの重量を支える必要がある。

濃い目の青色の箇所に、クランプが取り付けられる

クランプの個数はPF2~PF5用が各18個、PF1・PF6用が各9個となっている。今回出荷準備が整ったのはPF5用のもので、それぞれ重量は3.5tだ。

クランプの形状はU字型で、それぞれUの足の部分に深さ1m、幅20±3mmのスロットを変形や欠損なく設けなければならず、製造に困難を極めた。HTXLは独創的な鍛造とワイヤー カット技術を開発。まず、金型の周りに円形の金属を鍛造した後、U字型に2つに切断する。その後、深穴加工とワイヤーカットで深いスロットを作り、最終形状に加工する。こうした手順を踏んで製造することで、要求仕様を満たすことができた。

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A set of clamps to resist all loads

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