- 2018-11-22
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- プレドープ, リチウムイオン2次電池, リチウムイオン2次電池用負極, 一酸化ケイ素, 産業技術総合研究所, 産総研, 研究
産業技術総合研究所(産総研)は2018年11月21日、導電性基板上に一酸化ケイ素と導電助剤を積層させたリチウムイオン2次電池用負極を開発したと発表した。この負極の開発により、リチウムイオン2次電池の高容量化や小型化の促進が期待できるという。
リチウムイオン2次電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充放電する。電池の高容量化には、これまで負極に用いられてきた黒鉛に代わり、数倍から十数倍の理論容量を持ち供給の安定性に優れたケイ素系負極が有力とされている。中でも一酸化ケイ素は、黒鉛負極(372mAh/g)に比べて、理論容量が2007mAh/gにも達するため期待されている。しかし、容量のサイクル劣化の問題があり、一酸化ケイ素単体での実用化はされていない。
産総研は今回、ステンレス上に蒸着でナノメートルスケールの一酸化ケイ素薄膜を形成し、その上に導電助剤を積層させた構造のリチウムイオン2次電池用電極(負極)を開発した。
この負極の充放電特性を調査したところ、容量が黒鉛負極の約5倍に相当し、一酸化ケイ素の理論容量とほぼ一致することを確認。さらに、充放電を200サイクル以上繰り返しても容量が維持されることも確認した。
今回開発した電極は、初回充電時に大きな容量を必要とする。今後は、この問題を避けるためにプレドープを施した電極を準備し、実用化に向けた性能実証試験を行うという。