帝人は2019年3月4日、航空、宇宙用途向けの、高耐熱性と高耐衝撃性を兼ね備えたビスマレイミド(BMI)系プリプレグを開発したと発表した。
炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたプリプレグは、炭素繊維複合材料(CFPR)の中間材料として用いられており、航空機や自動車を初めとするさまざまな用途で採用されている。
CFPRには軽量、高強度のエポキシ系樹脂が使用されることが多いが、超高温下となる航空、宇宙用途のエンジンまわりの部品などでは、耐熱性に優れ、線形膨張係数の少ないBMI系樹脂などを用いたプリプレグが主に用いられる。しかしBMI系樹脂は、耐熱性を向上させることで耐衝撃性が低下したり、流動性が高いために成形が困難な場合があるという課題があった。
今回開発したBMI系プリプレグは、帝人が培ってきた技術を基に樹脂組成を適正化。ガラス転移温度280℃以上、衝撃後圧縮強度220MPa以上の高い耐熱性と耐衝撃性を両立させることに成功した。
また、線形膨張係数も小さく、低温から高温まで優れた寸法安定性を維持するという。さらに、樹脂粘度を調整したことで、成形工程で樹脂が流れ出すレジンフローを適度に制御し、従来のBMI系プリプレグより成形性を向上。硬化処理時間も短縮した。