ポリプラスチックスは2019年5月9日、高強度/高クリープ/良摺動性を兼ね備え、従来の摺動グレードよりも軽量化と省スペース化を可能にしたジュラコンPOMの新グレード「WW-09」を各種データとともに同社のWebサイトに公開した。
近年、自動車の電動化が進むに伴って静音化の要求が一層高まっており、POMの長所である摺動性をさらに高めた摺動グレードが必要とされる場面も増加している。一方で、燃費性能の向上も依然として重要なキーワードであり、各部品の軽量化や省スペース化も求められている。このような状況の中、摺動グレードにも静音性といった摺動特性だけではなく、薄肉化による軽量化や省スペース化に貢献できるよう高負荷、高加重の環境における耐久性が求められるようになってきている。
WW-09は、高い初期強度とクリープ特性を実現するために高分子量のポリマーを使用し、同社独自の分子設計と重合技術によって球晶を微細化することで、機械的性質の向上を達成した。従来の摺動グレードは摺動性を付与する目的で材料を変更した際に強度が低下してしまう傾向があり、それを製品設計や負荷の低減などで補わなければならない場合があったが、WW-09は標準グレードに近い物性を有していることから、そのような心配が少ない。
また、高粘度タイプのポリマーを使用しているため、他の摺動グレードと比べて良好なクリープ特性を示す。長期での耐久性も併せ持っているため、長期間荷重がかかり続けるような用途においても標準グレードに近い製品設計で使用できる。さらに、他の摺動グレード同様の良好な摺動特性に加えて、摺動時の静音性が考慮されている点も特徴の一つだ。実用条件で一般的に発生しうる面圧の上限値として5MPaを想定し、その面圧を越える鳴き音耐性を持つよう設計されている。
これらの特徴からWW-09は、破壊が懸念される高荷重下での使用や十分な肉厚が取れない場合などに加え、摺動特性も併せて要求される部品への採用が期待できる。また、標準グレード並みの機械的性質があるため、従来の摺動グレードよりも軽量化や省スペース化が可能だ。