- 2019-6-28
- 技術ニュース, 機械系
- 3Dプリンター, インピーダンスモデル, バイオニックハンド(筋電義手), バイオミメティック制御, 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, 広島大学, 研究, 筋シナジー理論, 近畿義肢製作所
広島大学は2019年6月27日、同大学の研究チームが兵庫県立福祉のまちづくり研究所と近畿義肢製作所との共同研究により、独自の筋シナジー理論とバイオミメティック制御(生体模倣制御)に基づく3Dプリンター製高機能筋電義手の開発に成功したと発表した。
筋電義手は、筋が収縮する際に発生する筋電位信号を用いて操作する電動義手であり、事故や病気で上肢を失った患者に対して処方される。筋電義手の制御では、計測した筋電位信号から使用者が意図した動作や力の入れ具合を推定し、それらの情報に基づいて電動義手の各モータを制御する。そのため、人間の手に匹敵するような筋電義手を実現するためには、使用者の動作意図の高精度な推定と、推定された動作に基づく自然で滑らかな操作性の2つを同時に実現する必要がある。
今回作成した筋電義手は、独自に開発した筋シナジー理論に基づく動作識別法と、インピーダンスモデルに基づくバイオミメティック制御を導入することでこれらの課題を解決した。この方法には、各指の独立した単一動作のみをシステムに機械学習させるだけで、学習を行っていない多様な組み合わせ動作を制御可能という世界初の技術的な特徴がある。
また、このアルゴリズムはマイクロコンピューター上に実装されており、義手を動かすために必要な機能が小型回路上で完結している。さらに、義手本体のパーツは3Dプリンターを用いて印刷されており、高度な機能を備える一方、製造コストの削減とメンテナンス性の向上にも成功した。