ハーバード大、”切り紙”の数学的フレームワークを考案

(C) Harvard SEAS

日本の切り紙から着想を得て、ハーバード大学工学・応用科学大学院(SEAS)にあるMahadevan研究室の研究者たちが、シート状の素材を意図した形状へと変形させる数学的フレームワークを考案した。この論文は2019年8月19日、『Nature Materials』に掲載された。

同研究室は以前、ミウラ折りを活用して1枚のシートをさまざまな3Dの曲面形状へと変形させる手法を編み出し、2016年1月にその成果をNature Materialsに掲載。今回発表された論文は、その研究に続くものになる。

ミウラ折りを使って形作られた

折り紙は紙を折って形を作るが、同研究室では切り紙から刺激を受け、1枚のシートに切り込みを入れて意図した形状へと変形させる手法を研究。切り込みを入れる箇所の数・長さ・方向を計算して決めていくことで、意図したとおりの形状に1回の動作で変形できるようになったという。

研究を進める際、研究者たちはまず切り込みを入れる長さ・方向に焦点を当てた。切り紙を展開した形状から、元のコンパクトな平面へと重なることなく収縮させる諸条件を特定。次に、それらの条件を考慮に入れて、汎用的な切り紙のパターンを見出すためのフレームワークを考え出した。簡単な力学解析によって展開後の安定性や展開していく順序を制御できるようになったという。

この研究に参加した大学院生は「折り紙のときよりも、切り紙の方が少しだけできることが増えた。シート状の素材の内部に切り込みを入れて間を広げられるので、切り紙はかなり形状を変えることができる」と話した。同研究室を率いるL. Mahadevan教授は「切り紙を研究することで、四角形を円形に、1枚のシートをポンチョのような形に変形できるようになったが、まだ始まりに過ぎない。このデジタル時代に、幾何学、トポロジー、計算を駆使して形を決めていく新たな手法の最初の1歩だと思う」と述べている。

同研究室では今後、切り紙と折り紙を組み合わせて、一定の条件下でどんな形でも形成できるように研究を進めていく計画だ。

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