富士通、圧電デバイスを用いて応力下の磁気特性を測定する技術を開発

富士通研究所は2016年12月8日、圧電デバイスを用いて応力下の磁気特性を測定する技術を発表した。電気自動車(EV)モーターなどの大規模磁界シミュレーションへの活用が期待できる。

同社は今回小型で一般的な誘導モーターを利用し、30cm四方のRRSST(Round Rotational Single Sheet Tester)型と呼ばれるベクトル磁気ヒステリシス特性測定装置を開発。さらに、測定試料に応力を加えられる技術を同装置に組み込んで、多様な応力下でのベクトル磁気ヒステリシス特性の容易な測定を可能にした。

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開発された技術では、電圧が加わると変形して特定の方向に力を発生する圧電デバイスを使用。この圧電デバイスを試料の電磁鋼板に張り付け、圧電デバイスに与える電圧を制御することで、測定対象の試料鋼板にかかる応力を変化させる。そのため、モーターの効率を低下させる原因となるベクトル磁気ヒステリシス特性を、さまざまな応力がかかった状態で測定できる。

また、試料鋼板は薄型の板状のため、圧電デバイスをその両面に貼り付け、両方に同等の応力を与えることで、試料の反りを抑制する。これにより、電圧によって緻密に制御された一様な応力を、測定領域全域に加えられる。

この技術を用いれば、高精度な磁界シミュレーターの実現に不可欠である多種多様な実測データの入手が可能になる。高精度な磁界シミュレーターが実現すれば、EVモーターなどの開発において現在5回程度と手間のかかる試作が1〜2回で済むようになるなど、開発期間の大幅な短縮が期待される。

富士通研究所は今後、ベクトル磁気ヒステリシス特性測定能力のさらなる向上を図り、多様な実測データの取得を進める。本技術により得られたデータを、2018年に販売予定の「EXAMAG LLGシミュレータ」の開発に適用する予定としている。

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