- 2019-10-24
- 制御・IT系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Jung Hyup Kim, ミズーリ大学, 先進運転支援システム(ADAS), 国際応用人間工学会議(International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics), 筋電図描画法(EMG), 自動車安全運転支援技術, 視線トラッキング技術
「Seeing is believing(百聞は一見にしかず)」とは、何事も自分の目で確かめるべきだ、という意味の古いことわざだが、最先端の自動車安全運転支援技術の中では他の意味もあるようだ。米ミズーリ大学では、視線トラッキング技術を使ってドライバーの目の動きを監視し、より安全な衝突防止警報の開発に役立てる研究が行われている。
人の瞳孔の大きさは、光の強弱以外にも、認知的、感情的活動に係わる他の要因によっても変化する。研究者達は、運転シミュレーターを使い、追突事故が起きた時のドライバーの目に焦点を合わせることによって、ドライバーの身体の動きをリアルタイムで評価した。研究者によれば、人の瞳孔の大きさは事故の重大性に対する身体的反応に応じても変化するという。彼らの研究は、そのデータから共通のパターンを見つけてモデル化し、不注意による衝突事故の減少に役立てようとするものだ。
ミズーリ大学の研究者はまた、衝突防止警告に対する瞳孔の変化と筋電図描画法(EMG)のような生理学的データを使って、ドライバーの身体的反応を予測する研究も行っている。最新の先進運転支援システム(ADAS)は、精度の高い衝突防止警告を出すが、逆に注意力を奪われることで事故を起こしてしまう可能性もあるという。この研究では、瞳孔とEMG信号を衝突警報に対するドライバーの身体的反応の予測に応用している。
これら研究の成果は2019年の「国際応用人間工学会議(International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics)」で発表されている。ミズーリ大学工学部のJung Hyup Kim助教授は、「衝突の前、ドライバーは、衝突防止警報装置によって簡単に注意をそらされてしまう。ドライバーが衝突の可能性に気付いているなら、自動車がドライバーに警告する必要はない。 逆に自動車が警報を出すことでドライバーの注意を逸らし、事故を引き起こしてしまう可能性もある」と、その研究の意義についてコメントしている。
関連リンク
Seeing is believing: Eye-tracking technology could help make driving safer