- 2019-11-20
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- KAIST電気工学部, Science Advances, Transformative Electronics Systems, ガリウム, シリコン, 神経プローブ, 電子プラットフォーム
韓国の国立大学KAIST電気工学部の研究チームは、2019年11月4日、形状、柔軟性、伸縮性を機械的に変更できる電子プラットフォーム「Transformative Electronics Systems」を開発したと発表した。研究成果は『Science Advances』誌に2019年11月1日付で掲載されている。
今回、KAISTの研究チームが開発したTransformative Electronics Systemsと呼ばれるシステムは、従来の電子機器のように堅固であるだけでなく、人間の体にぴったりと沿うような形に変形可能だ。
柔らかいシリコン素材の中に密封された特殊なガリウム金属構造を持ち、柔らかい伸縮性を持つようにデザインされた電子機器と組み合わせられている。ユーザーがコントロールする温度変化によって電子システムの機械的変形を引き起こすことができるという。
ガリウムには生体適合性があり、固体の状態では高い剛性を持ちながら、人間の皮膚温程度で液体になる性質を持つことから、主要な材料になったようだ。
この電子プラットフォームが人体と接触すると、シリコン内部にカプセル化されたガリウム金属が液化し、電子構造全体を柔らかくして全体の電子構造に伸縮性と柔軟性をもたらし、体にフィットするように装着できるようになる。
ガリウム金属は皮膚から剥がされると再び固化し、電子回路を固く安定化させるという。柔軟性のある電子回路が今回開発されたプラットフォームに統合されたことで、柔らかく伸縮自在にできる一方で、硬くなることもできるという相反する2つの特徴を持つことが実現したようだ。
Transformative Electronics Systemsは、感度などを調節できる圧力センサーや脳組織への移植時に柔らかくなる神経プローブなどに応用され、実証できたという。さらには、生物医学やロボティクス分野において家電業界を大きく変化させる技術になるのではないかと期待される。