ガス分離膜を高性能化する、連続した空隙構造を持つ多孔質炭素繊維を開発 東レ

中空糸形状の多孔質炭素繊維とその内部の空隙構造

東レは2019年11月18日、ナノサイズの連続する空隙構造を持った多孔質炭素繊維を世界で初めて開発したと発表した。

さまざまなガス分離において、エネルギー消費量が多い従来の吸収法や吸着法に代わり、膜を用いたガス分離法が注目され、研究が進められている。しかし、ガス分離性能と耐久性を併せ持つ膜は実用化されていない。

今回、東レの高分子技術や炭素繊維技術、水処理等の分離膜技術を融合し、すべての細孔空隙と炭素が規則的に連続する多孔質炭素繊維を開発した。炭素で構成されているため化学的に安定しており、ガス透過性にも優れる。また、柔軟性に優れる細い繊維状のため、ガス分離膜の支持層として用いることで、モジュールに多くのガス分離膜を収納でき、コンパクトかつ軽量化が可能になる。

この多孔質炭素繊維は、細孔空隙構造の孔径サイズをナノレベルからマイクロレベルまで任意のサイズにできる。中心部が空洞の中空糸形状にすることも可能だ。また、吸着性能に優れるため、電極材料や触媒の担体など高性能電池への応用もできるという。

今回開発した多孔質炭素繊維は、さまざまなガス分離機能層との組み合わせが可能で、天然ガス精製やバイオガス精製、水素製造など向けの各種高性能分離膜の早期実現を目指す。

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