- 2019-11-28
- ニュース, 化学・素材系, 技術ニュース
- アルキル基, アルミニウム, アルミニウム化合物, ベンゼン, 中和反応, 名古屋大学, 強塩基, 有機化合物, 有機材料, 研究, 脱プロトン化, 触媒
名古屋大学は2019年11月26日、典型的な酸として知られるアルミニウムが強い塩基として作用する分子を新たに発見したと発表した。
中和反応では、塩基が持つ電子を酸に含まれる水素イオンが受け取ることで水分子が生じる。同様の現象は、様々な有機化合物でも起こり、水素イオンを引き抜く反応であることから脱プロトン化と呼ばれている。しかし、有機化合物の種類によっては、脱プロトン化が起きにくい化合物も存在する。
一方、金属元素は、イオン化傾向が高いことから酸になりやすい。中でも、アルミニウム(Al)は、典型的な酸として知られ、塩基として作用する例は観察されていなかった。
そこで、研究グループは今回、Al原子に電子の供与性が高いアルキル基を持たせた分子を合成。Al原子に電子を強制的に持たせることで、Al原子の陰イオン化に成功した。そして、このAl原子を含む分子は強塩基性を持ち、非常に引き抜かれにくいプロトンを持つベンゼンからの脱プロトン反応を起こすことを明らかにした。また、この分子の使用により、Al原子と炭素原子を結合させる新しい方法も発見している。
研究グループは、今回の成果により、従来の反応では得られなかった様々なアルミニウム化合物が合成可能になると説明。それにより、新しい触媒や有機材料などの合成法の発展につながるとしている。