- 2020-1-9
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Key Decision Point-D, NASA, X-59, コンコルド, システムインテグレーション, ソニックブーム(衝撃音波), 有人X-plane(実験機), 超音速飛行, 静音超音速機(QueSST:Quiet SuperSonic Technology)
NASAは2019年12月17日、静音超音速実験機「X-59」が最終組み立てとシステムインテグレーションの許可を得たと発表した。静音超音速機(QueSST:Quiet SuperSonic Technology)と呼ばれるX-59は、ここ30年来初の大規模な有人X-plane(実験機)だ。
X-59は、5万5000フィート(約1万6000メートル)の高度を音速を超える時速約940マイル(約1500キロ)で巡航飛行できる。音速を超えたときに発生するソニックブーム(衝撃音波)を抑え、地上では車のドアを閉じた程度の音しか聞こえない、次世代型静音超音速機だ。
開発マイルストーンとして、今回Key Decision Point-Dと呼ばれるマネジメントレビューを完了、次工程への移行が承認されたことで、プロジェクトが予定通り順調に進んでいることが示された。最終組み立てとシステムインテグレーションは2020年後半の完了を予定しており、順調に進めば初飛行は2021年になる見込みだ。
完成後は、地上のセンサーや住民からのデータを得るために、実際に市街地上空を飛行することになる。NASAによると、この実証飛行によって許容可能な商用ジェット機の騒音基準を確立する狙いがある。かつて運用されていた超音速機「コンコルド」によるソニックブームを規制するため、現在は陸地上空での超音速飛行はアメリカにおいて禁止されている。次世代型静音超音速機の開発は、この規制撤廃を念頭に置いている。
関連リンク
NASA’s X-59 Quiet Supersonic Research Aircraft Cleared for Final Assembly