- 2020-1-20
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- ACG, ドコモR&Dセンタ, メタマテリアル反射板, 第5世代移動通信方式, 透明動的メタサーフェス, NTTドコモ
NTTドコモは2020年1月17日、AGCと共同で、第5世代移動通信方式(5G)におけるエリア構築の最適化に向けて、高い透明性を維持しながら電波の反射/透過を制御する「透明動的メタサーフェス」のプロトタイプを開発した。2020年1月10日にドコモR&Dセンタで、28GHz帯電波の反射/透過を動的に制御する実証実験に成功したという。
5G以降の世代で利用される高い周波数帯は直進性が高く、基地局から見通せる範囲外は電波の反射を活用してエリア構築することが効果的だ。そのため、ドコモは反射波の方向やビーム形状を任意に設計できるメタマテリアル反射板を検討してきた。
しかし、メタマテリアル反射板はエリア拡大に有効である一方で、設置場所に合せた設計が必要。反射板の裏には電波が届かなくなる、景観に影響を与えるなどの課題があり、エリア拡大を進めていくためには、より柔軟に電波伝搬を制御する必要があった。
そこで開発したのが透明動的メタサーフェスだ。これは、小さな構造体を規則的に多数配置したメタサーフェス基板を透明化したものに透明なガラス基板を重ねたもの。重ねたガラス基板を微小に可動させることで、入射電波を透過するモード、電波の一部を透過し一部を反射するモード、全ての電波を反射するモードの3パターンを動的に制御できる。
神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンタの実験では、透明動的メタサーフェスのプロトタイプに対して垂直に電波を入射し、透過モード時(メタサーフェス基板と可動透明基板が接した状態)と反射モード時(メタサーフェス基板と可動透明基板が200μm以上離れた状態)の透過率を測定。その結果、透過モードの際に透過率約-1dB、反射モードの際に透過率-10dB以下の性能を400MHz以上の帯域で達成できることが確認された。
これにより、28GHz帯で、透過モードの時は電波が減衰することなく基板を透過し、反射モードの時は電波が減衰することなく反射することが確認できた。実験ではメタサーフェス基板と可動透明基板間の距離をマニュアル制御したが、今後は高速で電気制御できる圧電アクチュエータを使用して、高速に透過モードと反射モードの制御を目指すという。
今回開発したメタサーフェス動的化手法は、透明性を維持したまま動的制御が可能で、基板の大面積化も容易だ。景観や既存のデザインを損なわずに、建築物や看板、広告、車両などへ設置できる可能性もある。設置場所の環境に合わせて動的に電波伝搬を制御することで、基地局の設置が困難な建物が密集したオフィス街や、電波の透過・反射を制御する需要があるような屋内環境などにおいて、よりきめ細やかな5Gエリアの構築もできるという。