- 2020-4-28
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- 3Dプリント, Manufacturing Technology Centre, Multimatic, NHS(国民保健サービス), アストンマーティン, ウォリック病院, 個人防護具(PPE), 新型コロナウイルス, 王立ロンドン病院, 集中治療室(ICU)
イギリスの高級車メーカーであるアストンマーティンは、2020年4月9日、医療現場の最前線で新型コロナウイルスと闘っている英NHS(国民保健サービス)の医療従事者に対し、個人防護具(PPE)を提供する活動を始めたと発表した。
集中治療室(ICU)で新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたる医療スタッフにとって、最も危険な処置の1つに気管挿管や抜管がある。そのため、医療スタッフを防御しつつ患者にもアクセスしやすい新しい防護具が求められていた。アストンマーティンは、長年、技術提携しているカナダのMultimaticと共に、イギリスの非営利研究技術組織Manufacturing Technology Centreと協力して、患者の上半身を覆う一体型の透明な箱型シールドを開発した。このシールドは既に王立ロンドン病院で試用中だという。
本社があるウォリックシャー州ゲイドンの工場では、通常、スポーツカーの内装用レザー裁断に使用している機械を、箱型シールドのシリコン製部品製造に転用している。箱型シールドは積み重ねられるので、輸送や保管にも便利だ。
また、同社のデザインチームは、ウォリック病院と協力してNHSの感染対策基準を満たすフェイスシールドを開発した。最新3Dプリント技術を駆使して、週当たり約150個のペースで生産する。
その他にも、保護ガウンをウォリックシャー州内の病院から依頼を受けて開発し、既に試作品を提供している。週当たり最大750着のガウンを量産できる見通しだ。
さらに、過去の名車のメンテナンスを担当するアストンマーティンワークスの従業員たちは、2020年3月末から、近隣の大学病院で働くNHSスタッフのために、車両の緊急修理サービスを始めている。費用は部品代だけで、パンク修理からブレーキパッドの交換まで引き受けている。部品も地元のサプライヤーの協力により格安で提供されているという。