原子層堆積法を用いたナノシート酸化物半導体トランジスタを開発 東大生産技術研究所

東京大学生産技術研究所は2023年6月9日、奈良先端科学技術大学院大学との研究グループが、原子層堆積法を用いて酸化物半導体のナノ薄膜を成膜する技術を用いて、低温で形成可能なナノシート酸化物半導体をチャネル材料とする高性能で高信頼性なトランジスタを開発したと発表した。この技術を使えば、半導体のさらなる高集積化と高機能化が可能で、ビッグデータを利活用する社会サービスへの展開が期待できるとしている。

酸化物半導体は、これまでフラットパネルディスプレイ用に研究開発され量産されている。低温で形成が可能で、高性能であることから、半導体の集積化技術への応用に期待が高まっている。しかし、半導体の集積化技術として酸化物半導体をトランジスタのチャネル材料に用いるには、酸化物半導体がナノ薄膜で、デバイスは高性能で高信頼性でなければならない。

そこで研究グループは、酸化インジウム(In2O3)と酸化ガリウム(Ga2O3)を原子層ごとに交互に成膜して、InGaO(IGO)のナノ薄膜を成膜する手法を開発。そのうえで、ナノシートIGOをチャネル材料とするプレーナー型トランジスタを試作し、性能指標である移動度と信頼性指標であるバイアスストレス閾値電圧シフトを系統的に調査した。その結果、移動度と閾値シフトの間にトレードオフ関係があることが分かった。さらに、そのトレードオフを解消するため、IGOナノシートをゲートで覆ったGate-All-Around構造を試作し、試験を行ったところ、ノーマリーオフ動作、プレーナー型に対して2.6倍の駆動電流向上と1.2倍の移動度向上、閾値電圧シフトの大幅な低減を実現した。

今回、原子層堆積法による酸化物半導体のナノ薄膜の均一な成膜が可能になったことから、研究グループは今後、高移動度で高信頼性な酸化物半導体ナノ薄膜の開発を推進し、さらに微細なトランジスタや三次元構造のトランジスタへ展開することで、半導体の三次元高集積化への貢献を目指す。

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【記者発表】原子層堆積法を用いたナノシート酸化物半導体トランジスタを開発――半導体の高集積化・高機能化へ期待―― – 東京大学生産技術研究所

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