- 2020-6-26
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- Matt Brookes, Neuroimage, ノッティンガム大学, 光ポンピング磁力計(OPM), 脳磁図(MEG)検査用スキャナー, 超高感度磁気センサー(SQUID)
英ノッティンガム大学は、ヘルメットのように頭に装着でき、患者が動いている間もスキャンが可能な脳磁図(MEG)検査用スキャナーを開発し、科学ジャーナル『Neuroimage』で発表した。
現在のMEGスキャナーは、大きくかつ数百kgもある。これは、脳が活動するときの磁場の変化を読み取る超高感度磁気センサー(SQUID)を-269℃に冷却する必要があるためだ。また、現在のスキャナーでは、患者は完全に静止していなければならず、スキャン中に5mm動いただけで画像が使いものにならなくなってしまうという。
ノッティンガム大学が開発したMEGスキャナーは、磁場の読み取りに「光ポンピング磁力計(OPM)」を使った49チャンネルの装置で、脳全体をスキャンすることができる。これにより、精神衛生上の多くの問題に関与する電気生理学的過程を観察できるようになるという。また、ヘルメット型の装置は軽く、被験者は計測中でも頭を動かすことも可能だ。
研究者たちは2018年にはプロトタイプを完成させていたが、当時はセンサーが13個しかなく、脳の限られた部位しかスキャンできなかった。研究チームはこれを頭全体を覆うヘルメットの形状にし、感度を向上させることに取り組んでいた。
研究チームのMatt Brookes教授は「精神疾患の解明は、21世紀の科学が直面している最大の課題の1つだが、多くの場合、脳を可視化する詳細な画像でさえ根本的な病理を伝えることができていない。健康なときや病気のときに脳がどのように活動しているかを調べるための新しい技術が早急に必要とされている」と述べている。
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