ソニックブームの可視化と予測に成功――NASAの静音超音速実験機「X-59」は2022年初飛行へ

Credits: NASA Glenn

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2022年1月26日、静音超音速実験機「X-59 QueSST(Quiet SuperSonic Technology)」の小型モデルを使って、ソニックブームの低減および予測機能のテストに成功したと発表した。

音速を超える飛行中に発生するソニックブームは、約110dBと爆発や雷鳴ほどの音になるため、陸上における商用的な超音速飛行は、現在禁止されている。NASAはその規制解除に向けて、飛行中のソニックブームを抑え、静かな超音速飛行が可能な次世代航空機を開発中だ。

実物大のX-59が全長29.5m、幅9mに対し、今回使用した小型モデルの全長は約45cm。実験では、2.4×1.8mの超音速風洞施設で、特殊なカメラとセンサーで衝撃波を捕らえることに成功した。実験から得られた衝撃波の位置と強さは、コンピューターモデルと一致していた。今回の知見は、実際のX-59や次世代の航空機から発生する音を理解し、予測するために役立てられる。

今後は実験場所を日本に移し、JAXAとボーイングによって風洞実験の追試験が行われる。現在、X-59は製造の最終工程にあり、2022年後半の初飛行を予定している。耐空性を確認した後、設計通りに静音超音速技術が機能するか検証を進める。

NASAは、騒音や地域の反応に関するデータを当局に提出し、地上の超音速飛行に関する新しいルール作りに貢献したいとしている。

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