- 2020-8-18
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- 3Dプリント, Advanced Materials, オレゴン健康科学大学, レゴブロック, 成長因子, 生体適合性足場材料, 複雑骨折, 骨
米オレゴン健康科学大学は、2020年7月24日、骨折した骨の修復の一助となる小さな3Dプリント製キューブを開発したと発表した。この技術は特許申請中だという。研究成果は『Advanced Materials』2020年7月23日付で発表されている。
今回の新しい研究によると、研究者らが開発したキューブは、硬組織や軟組織の細胞足場として機能し、従来の標準的な再生方法よりも優れているという。キューブの大きさは1.5×1.5×1.5mmで、ノミと同程度のサイズだ。おもちゃのレゴブロックから発想を得たこの小さなキューブは、レゴのように積み重ねて何千もの異なる構成で配置でき、どんな複雑な状況やサイズにもマッチさせて使用できるとしている。具体的には、キューブをたて4個、横4個つなぎ合わせた層を4層に重ねたセグメントを組み合わせると、2万9000を超える構成を作成できると推定されている。
通常、複雑骨折の修復治療では、金属製のロッドやプレートを埋め込んで骨折部分の骨を固定し、治癒を促進する粉末やペーストを詰めた生体適合性足場材料を挿入する。しかし、この新しいキューブを用いたシステムであれば、キューブ内の空洞に成長因子を含むジェルを詰めて配置することができる。ラットを使った研究では、成長因子を詰めたブロックを修復した骨周辺に配置すると、従来の方法に比べて血管成長が約3倍早いことが分かったという。
研究チームは、ラットやラットより大きな動物で、より複雑な骨折を修復する技術のテストを計画しているという。このようなモジュール式キューブを使う手法は、さらに研究を進めれば、いつの日か研究室での人体移植用臓器製造に応用できる可能性もあると期待されている。