- 2020-8-17
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- 3D Bioprinting Solutions研究所, 3Dバイオプリンティング技術, American Environmental Science&Technology, KFC, チキンナゲット
KFCは2020年7月16日、ロシアの3D Bioprinting Solutions研究所と共同で、鶏肉を作るための革新的な3Dバイオプリンティング技術の開発を開始したと発表した。モスクワで2020年秋に、試験用の最終製品を受領する予定だ。
近年環境への悪影響を減らしつつ、増え続ける世界人口に食糧を安定供給できるようにする解決策が求められている。また、健康的なライフスタイルと栄養への関心が高まり、伝統的な肉の代替品への需要も年々増加している。
3D Bioprinting Solutionsは、鶏の細胞と植物由来の素材を用いた3D バイオプリンティング技術を開発している企業で、プロセスにほとんど動物を必要とせずに鶏肉の味と食感を再現できる。
今回のプロジェクトでは、世界初の実験室で生産されたチキンナゲットの開発を目指している。味も見た目もKFCのオリジナル製品に可能な限り近いものにすると同時に、通常の食肉よりも環境に優しい方法で製造する予定だ。KFCの特徴的な味を生み出すために、KFCは3D Bioprinting Solutionsに衣やスパイスなどの必要な材料をすべて提供するとしている。
「American Environmental Science&Technology」誌の研究によると、細胞から肉を育てる技術は、環境への悪影響が少なく、畜産と比較してエネルギー消費を半分以上削減でき、温室効果ガスの排出量を25分の1に削減できるという。また、従来の農場ベースの食肉生産に比べて使用する土地も100分の1で済む。そして、動物に危害を加えないという点では、伝統的な畜産よりも倫理的と言えるだろう。
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