異種材料接合に重要な材料内部や界面構造を非破壊検査法で解明 大阪府立大学

大阪府立大学は9月25日、リガク、MORESCOと共同研究を進め、非破壊検査法の一つである3次元X線イメージングの手法を駆使して、ガラス板や金属板上の多孔質エポキシモノリス層に熱可塑性樹脂を熱溶着した接合試験片の内部と界面構造を直接観察することに成功したと発表した。

近年、材料の軽量化やマルチマテリアル化が進むと同時に、さまざまな材料を組み合わせて突出した機能を発揮させる複合化技術が進展し、異種材料間の接着接合のニーズが急増し、実用化に向けた応用研究が盛んだ。研究者らは多孔質有機材料であるエポキシモノリスを使用した新しい異種材料接合法(モノリス接合法)を独自に先行研究で開発してきた。

2016年には、金属と樹脂を接合する際に、多孔質の有機ポリマー材料であるエポキシモノリス層を界面に介在させると、金属と樹脂を直接接合する場合に比べて、接合強度が2倍から10倍向上することを発見。この接合強度の向上は、エポキシモノリスの細孔内に入り込んだ樹脂のアンカー効果(投錨効果)によるもので、破断後に引き伸ばされた樹脂断面やモノリス表面の細孔内に入り込んだ樹脂残片の形状から、新しい原理による接合方法であることが指摘され、注目を集めてきた。さらに、樹脂強度を高くすると接合強度が増大することが明らかになり、エンジニアプラスチックを用いた高強度接合に向けての取り組みが進んでいた。

しかしながら、モノリス表面と樹脂間での接合強度が増すほど、エポキシモノリスとガラスあるいは金属材料間での界面強度が重要になり、エポキシモノリスと被着体との界面の相互作用を高めて界面強度を高強度化する必要があった。本研究では、高強度化のための材料開発や接合条件の改良のために、界面構造を正確に知ることに重点を置き、従来の破断後の表面観察や、あるいはランダムに切断したサンプルの断面観察から界面構造全体を類推する間接的な方法に代わり、非破壊分析法の一つである3次元X線イメージング手法を適用した。それにより、多孔質材料であるエポキシモノリスの内部構造はもちろんのこと、ガラスとエポキシモノリスの接合界面の詳細な構造を、サンプルを破壊することなく、接合に用いられている条件と同一のままの状態で観察することに成功した。

精密な観察を行うために、微小で平坦な表面を観察できる特殊ステージも設計し、そのステージ上に接合界面を形成してX線観察を行ったという。観察の結果、シランカップリング剤やホスフィンカップリング剤などによるガラスや金属の表面修飾が、異種材料接合の高強度化に有効に作用していることが実証された。

異種材料間での信頼性の高い接着接合技術の開発は、省資源や省エネルギーにつながることが期待される。高強度接着に必要な接着接合機構の詳細を解明し、さらに、並行して研究開発を進めている易解体性接着技術を導入することで、マルチマテリアル化した複合材料を使用後に素材ごとに解体してリサイクルすることも可能になるという。

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