古河電気工業は2017年4月3日、パワーモジュール用基板やその周辺部材の材料として、高い耐熱性能を持つ無酸素銅条「GOFC(Grain Growth Control Oxygen Free Copper)」を開発したと発表した。すでに絶縁基板の接合材の用途向けにサンプル出荷を開始している。
今回開発された製品は、一般的な無酸素銅条(C1020R)をベースに、その成分規格を変えずに高熱を加えても結晶粒が粗大化しにくくしたものだ。同社独自の組織制御技術を応用して量産化技術を確立した。一般的な無酸素銅条が500℃以上の熱処理で急激に結晶粒が粗大化するところを、800℃まで結晶粒が小さいまま抑制することができる。
近年、ハイブリッドや電気自動車といった次世代自動車や風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギーの技術革新に伴い、自動車モータ制御や電力変換等を行うパワーモジュールの高出力化、高性能化が進んでいる。こうした中で、熱的・電気的負荷が急速に増大しているパワーモジュール用の基板や周辺部材の材料には、高い導電性、熱伝導性や放熱性の要求から無酸素銅条が使用されている。しかし、一般的な無酸素銅条はパワーモジュール製造時の熱処理過程で結晶粒の粗大化が起こる。このため、その後のボンディングや他の部品との接合の工程で様々な支障が発生するという問題があった。
同社では今後、板厚0.3〜1.0mmの条製品も提供できるよう製品ラインナップの拡充を進め、2020年度に50t/月の生産量を計画しているという。