脱炭素社会を目指すアメリカの研究者、核融合発電所の独自建設を提案

ALEXANDER CREELY

米国エネルギー省(DOE)の諮問委員会FESACでは2020年12月7日、核融合発電所建設に関するロードマップについて話し合われた。その中で、小委員会の議長でカリフォルニア大学のTroy Carter教授は、2040年代までにアメリカ独自の核融合発電所を建設することを提案した。

現在アメリカは、南フランスで建設中の核融合実験炉に関する国際プロジェクト「ITER(イーター)」に参加している。ITERはこの10年で運用を開始する段階まで進んでおり、ITERへの参加は、アメリカの核融合エネルギー開発にとっても重要だ。DOEの核融合エネルギー科学プログラム(FES)は目標の1つに、「磁場によるプラズマの閉じ込めに関する基礎科学を進歩させ、持続可能な核融合エネルギー源に必要な予測力を開発すること」を掲げている。

Carter教授をはじめとする研究者らは、報告書の草案の中で、今こそ気候変動を緩和すると同時に社会に電力を供給するため、核融合エネルギーの開発に向けて積極的に取り組む時だと主張し、科学技術の革新によって、アメリカ独自の核融合発電所を2040年代までに建設する準備が整っていると訴えた。

長期的なプランを遂行するためには、小規模から中規模の実験や施設も必要で、核融合材料科学、プラズマ対向機器、トリチウムブリーディングブランケット技術、トリチウム燃料サイクルに重点を置く必要があるとしている。

『Science』が報じるところによると、ITERでの知見を活かし、トカマク全体の最新シミュレーションや3Dプリント、高温超伝導磁気コイルといった技術を利用して、より低コストで小型のパイロットプラントの建設を目指すということのようだ。

関連リンク

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る