ロシアのエンジニアが、トンボにヒントを得たオーニソプター(羽ばたき式飛行機)「Serenity」を開発し、飛行する様子を撮影した動画をYouTubeで公開した。ラジコンの操縦器のような機器を手元に持ったエンジニアが操縦し、離陸から数分間の飛行、そして着陸までを成功させている。
Serenityは全長10フィート(約3m)で、3組6枚の翼を備え、羽ばたく動作に必要な装置、リンク機構、ワイヤー、バッテリーも搭載している。
現代の航空機は前方へ動き続けることで翼に対する揚力を生み出し、空中にとどまることができる。通常はジェットエンジンかプロペラによる推力が原動力だ。しかし、いずれの場合も発生する騒音は非常に大きい。公開されている複数のSerenity飛行動画を見ると、ジェットエンジンに比べればSerenityは騒音を大幅に低減できる可能性はあるが、多少の羽音は聞こえており、これを騒音ととらえるかどうかは人によりそうだ。
Serenityは翼を動かすことで揚力を発生させているが、空中でホバリングすることはできないし操縦性能も限られている。羽ばたき式飛行機は技術的にはホバリングが可能なので、ヘリコプターのような高い機動性を実現できれば現実的な利用も見えてくるだろう。サイズを拡大すれば人が乗ることも可能かもしれないが、現時点では効率性が悪く翼の動きにより揺れが発生するため旅客機としての役割には程遠い。しかし、Serenityの開発余地は大いにあり、エンジニアらの夢は膨らむようだ。