マンガンとチタンから構成された高エネルギー密度蓄電池材料を開発――リチウムイオン蓄電池の用途拡大に期待 横浜国立大学

横浜国立大学 教授の藪内直明氏らの研究グループは2020年3月27日、マンガンとチタンから構成された高エネルギー密度蓄電池材料を開発したと発表した。マンガンとチタンから構成されたナノサイズ試料を合成した新しい電池材料で、大きな放電容量と高いエネルギー密度を持つという。

研究グループは、マンガンとチタンから構成されたナノ酸化物材料の合成に取り組み、新材料を開発した。リチウムイオン蓄電池に用いられているコバルト・ニッケル系従来材料と比較して1.5倍の容量を持つ。また、名古屋工業大学、立命館大学と共に、チタンの存在によって酸素による電荷補償が安定化し、高容量材料となることを明らかにした。

従来のマンガン・チタン系材料も高容量を示すが、50℃という高い温度が必要で、サイクル寿命も不十分だった。研究では試料をナノサイズ化し、粒子中の粒界濃度を増加させ、室温でも高容量を得ている。同時に、大幅にサイクル特性を向上した。

ナノサイズのマンガン・チタン系材料は、メカニカルミリングと呼ばれる材料合成手法を用いて得た。メカニカルミリングとは、材料をジルコニア製のセラミックスボールと共に容器内で回転させることにより材料の均一な混合・粉砕を行う手法である。材料の電子状態の変化はフォトンファクトリー、表面構造解析はSPring-8で測定している。

新材料は、マンガンやチタンといった資源が豊富な元素から構成されており、コバルトやニッケルを利用しない。低価格で高性能なリチウムイオン蓄電池は将来的に、電気自動車の低価格化や自然エネルギーの貯蔵に利用する大型電池などへの応用が期待できる。

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