チタンベースの生体軟組織用接着材を開発――縫合糸を用いない外科処置などに応用可能 岡山大学ら

岡山大学は2020年3月24日、同大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)生体材料学分野と昭和大学、大阪大学、柳下技研の研究グループが、チタンをベースにした生体軟組織用接着材を開発したと発表した。発表によると世界初の成果だという。

同研究グループは今回、一定温度下で酸処理を加えただけの一般的なチタン薄膜が、生体軟組織、特に真皮組織や筋膜組織に高い接着力を示すことを見出した。酸処理を加えることで、チタンの表面が疎水化するとともに結合水量が大きく減少する。これにより生体軟組織との疎水性相互作用が増強され、接着力が生じるものと考えられる。

今回開発されたチタン製接着材は、軟組織に軽く圧接するだけで瞬時に接着できる。表皮とはくっつかないので、手にはくっつかない。また、接着力は従来用いられているフィブリン系接着剤よりも3倍以上も強い接着力を示した。減菌などの取り扱いも容易に行える。

チタンは生体親和性に優れた金属であり、従来より体内埋め込み型医療用デバイスの外装や歯科用インプラント、骨固定材などで利用されている。本研究成果は、簡便かつ迅速に強い接着力を示す生体親和性に優れた新しい接着材として、インプランタブルセンサや医療用デバイスの体内固定に加えて、縫合糸を用いない組織接合や組織変形矯正といった簡易な外科処置への応用が期待される。

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