TDKは2021年4月6日、車載CAN-FD用コモンモードフィルタ「ACT1210D」シリーズを開発し、同月より量産を開始すると発表した。サンプル価格は1個当たり165円となっており、生産量は生産開始当初で月産6万個を計画している。
同製品は、現在車載LANにおいてボディ系を中心に最も普及しているCANに加えて、データ転送速度がCANの5倍となる最大5Mビット/秒のCAN-FDに対応している。CiA(CAN in Automation:電装メーカーの業界団体)、IEC(国際電気標準会議)の要件を満たし、優れたノイズ抑制効果を発揮する。
同社独自の構造設計を採用しており、良好な信号モード変換特性(Ssd21)を有する。また、高精度自動巻線機を導入したほか、金属端子のレーザー溶接による継線方法を採用し、高い信頼性を確保した。
使用温度範囲は−40〜150℃で、直流抵抗が最大3Ω、絶縁抵抗が最大10MΩ、定格電流が最小115mA、定格電圧が最大80Vとなっている。3.2×2.5×2.5mmと小型かつ低背なサイズで、機器の省スペース化に寄与する。
近年、ADAS用途で高速かつ大容量のカメラ映像を扱う需要が増加しており、同社は今後も車載通信用コモンモードフィルタの総合的な製品およびサービス提供を行う。