- 2021-5-12
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- Materials Today Physics, Wi-Fi, アンテナ, ウェアラブルデバイス, スーパーキャパシター, バッテリー, ペンシルベニア州立大学, レクテナシステム, 太陽光発電, 摩擦発電, 電子レンジ, 電波
周囲環境にある電波からエネルギーを回収し、ウェアラブルデバイスに電力を供給する伸縮可能なアンテナとレクテナシステムが開発された。この研究は米ペンシルベニア州立大学を中心とした国際研究チームによるもので、2021年3月5日付で『Materials Today Physics』オンライン版に掲載された。
電子レンジからWi-Fi接続まで、電波は環境中に広がっており、いつでもどこにでもある。また、電波はエネルギーを消費する信号であるだけでなく、それ自体がエネルギー源でもある。このエネルギーは使用しないと単に無駄になってしまう。
そこで、研究チームはこのエネルギーを収集し、整流して電力に変える技術を開発した。具体的には、健康モニター用センサーから収集したデータをワイヤレス送信できる、伸縮自在の広帯域ダイポールアンテナシステムを作製した。このシステムは、金属コーティングされた導電性グラフェン上に組み込まれた、伸縮可能な2つの金属アンテナから成る。このシステムは広帯域設計で、引き伸ばしたり、曲げたり、ねじったりしても受信した高周波電力を結合し維持できる。
このシステムを伸縮可能な整流回路に接続すると、電磁波エネルギーを電気に変換できる「レクテナ」と呼ばれる整流回路付きアンテナができあがる。このレクテナが生成する電気は、ワイヤレスデバイスへの電力供給や、バッテリーやスーパーキャパシタといったエネルギー蓄積装置の充電に利用できる。
今回開発されたレクテナは、周囲環境の電波や電磁波をエネルギーに変換して、デバイスに搭載された温度や水和レベルなどをトラッキングするセンシングモジュールに電力を供給することが可能だ。
従来のウェアラブル健康モニタリングデバイスで利用されている太陽光発電や摩擦発電のような他の電力源と比較して、このシステムが生成するエネルギー量は少ないが、継続的に電力を生成できるという利点があるという。