磁気記録媒体の3次元化で多値記録が可能であることを実証――高密度HDDとして実用化に適した媒体構造を目指す NIMSら

物質・材料研究機構(NIMS)は2024年3月27日、米Seagate Technology、東北大学と共同で、ハードディスクドライブ(HDD)において、磁気記録媒体の3次元化で多値記録ができることを実証したと発表した。今後、高密度HDDとして実用化に適した媒体構造を目指す。

現在、データセンターの記録装置として用いられるHDDは、垂直磁気記録方式が採用されている。Seagate Technologyは、記録密度を現在の1.5Tbit/in2(テラビット/平方インチ)よりも飛躍的に増やせる、磁気異方性の高い鉄白金(FePt)を用いた熱アシスト磁気記録方式(HAMR)を実用化している。

Advanced Storage Research Consortium(ASRC)が発表したロードマップでは、2028年には4Tbit/in2、2034年には10Tbit/in2の実現が求められているが、10Tbit/in2を超える超高密度磁気記録は、現行のHAMR方式では困難だとされており、新原理の磁気記録方式が望まれている。

そこで研究グループは、記録層を立体的に積層する3次元磁気記録方式を提案した。従来の2次元記録層とは異なるこの方式は、記録層を3次元的に積層することで大幅に記録密度を増加させる。現行の磁気記録は、2次元的にビットが配置されているが、3次元磁気記録方式は膜の垂直方向にも配置される。記録は、各磁気記録層のキュリー点に100K程度の差を持たせ、書き込み用のレーザー出力の調整で実施する。

研究グループは、FePtを記録媒体の材料として、磁気的に上下2つのFePt層を独立させるために、スペーサー層としてルテニウム(Ru)を用いた3次元FePt媒体を作製した。その磁化曲線と熱磁気曲線からは、上下FePt層それぞれに対応する2つの磁化反転とキュリー点が観測された。

これはレーザー出力の調整で、上下のFePt層に書き込みができることを示している。作製したFePt媒体の微細組織と磁気特性に基づく書き込みシミュレーションでは、多値記録が実証されている。

今後、FePt粒子のダウンサイジング、上部FePt層の配向、磁気異方性の改善、FePt層のさらなる多層化を進め、高密度HDDとして実用化に適した媒体構造を目指す。

関連情報

ナノ磁石を積み上げて磁気記録を高密度化 | NIMS

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