スーパーアロイの耐熱性を飛躍的に高める「階層的材料設計」

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アイダホ国立研究所の研究チームが、耐熱性を向上し破断寿命を何千時間も延ばすことができる、Ni基スーパーアロイの画期的な製造方法を考案した。耐熱性確保の基本となるγ’ 析出相の内部に、更に微細なγ相を分散させる、「階層的材料設計」という新しいコンセプトを導入したものだ。スーパーアロイを活用する多くの産業に、今後、大きなインパクトを与えると期待される。研究成果は、2018年11月16日の『Science Advances』誌に論文公開されている。

Ni基スーパーアロイは、Niに約6%のAlを含んだ合金にCoやRu、Reなどの元素を添加した材料であり、1000℃以上にも達する耐用温度を示す耐熱合金。ジェットエンジンのタービンブレードや発電用ガスタービンなど高い耐熱性が必要な用途に広く使用され、いずれもエネルギー効率を向上するのに貢献している。Ni基スーパーアロイでは、母相マトリックスであるγ相に、規則的結晶配列を有するNiAl金属間化合物のγ’ 析出相が高い体積分率で分布している。このγ’ 相が高温変形時の転位運動の障害となることで、高い高温強度を示し、耐熱性の源となっている。

研究チームは、このγ’ 析出相の内部に、さらに微細構造を作り込むことを検討した。これは、母相マトリックス中にボックスを分散させ、さらに各ボックスの中に小さなボックスを作り込むという「階層的材料設計」と呼ぶコンセプトを導入しようと考えたのである。具体的には、加熱冷却処理を工夫して、高体積分率で分散したγ’ 析出相の内部に、ナノレベルで微細γ相粒子を分散させることに成功した。添加されたCo、Ru、Reの過飽和状態からの、相分離反応を利用したものであるが、微細なγ相粒子が、γ’ 析出相の高温における粗大化を抑制し、結果として高い高温強度を長時間に渡って維持することができる。

さらに、コンピューターシミュレーションにより、このコンセプトによるスーパーアロイは、例えば800℃において、破断寿命を従来の3千時間に対し2万時間まで延ばし、6倍も優れた耐熱特性を持つことが予測された。研究成果の直接的な応用として期待されるのは発電ガスタービン分野であり、優れた耐熱性と強度によって、既存材料よりも長く稼働させることを可能にする。また、宇宙航空分野のガスタービンエンジンも主要な応用分野になるだろう。

研究チームは、この構造的階層は、新しい材料設計コンセプトとして今後大きく発展し、他のスーパーアロイにも適用できるとともに、用途特化型の高性能材料を合成することができるようになると考えている。その結果、スーパーアロイの強度および耐熱性、他の特性を調整して、実際的な用途分野を拡大することが期待できる。

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