- 2021-4-22
- 化学・素材系, 製品ニュース
- ITO, STARMESH-β1, スパッタリング法, タッチパネル, メタルメッシュ電極, メタルメッシュ黒化膜用ターゲット材, 大同特殊鋼, 黒化膜
大同特殊鋼は2021年4月21日、優れた低反射率と耐久性を併せ持つメタルメッシュ黒化膜用ターゲット材を開発し、「STARMESH-β1」として発売を開始したと発表した。「STARMESHR(スターメッシュ)」シリーズの高信頼性モデル「β1(ベータワン)」として展開する。
タッチパネルの透明電極には、一般的にセラミックス系のITO(酸化インジウムスズ)が用いられている。ITOは透明かつ導電性のある材料であるが、導電性は銅などの金属に劣る。そのため大画面のタッチパネルセンサー電極に、導電性の劣るITOを用いると、検出精度が保てなくなる課題がある。従来のITO電極に代わり、数µm幅の網目状の金属を用いたメタルメッシュ電極の普及が進んでいる。
メタルメッシュ電極に主に用いられる銅の導電膜は金属光沢で、外光を反射し、ぎらぎら光るため視認性が悪く、金属導電膜の上に黒化膜を重ねて反射を抑制する必要がある。また、従来の銅酸化物の黒化膜は長期間過酷な環境にさらされると変色する課題があることから、優れた低反射率と耐久性を併せ持つSTARMESH-β1を開発した。
STARMESH-β1を用いてスパッタリング法で成膜した黒化膜は、銅(Cu)の導電膜の反射率を10~20%に抑えられる。この黒化膜は優れた信頼性を有し、車載向け電子部品を想定した環境試験(温度85℃、湿度85%、1000時間)でも導電性や色の変化がないという。これまでの黒化膜の銅酸化物(CuO)と比べ、厳しい環境で使用でき、適用製品を長寿命化できる。
また、インジウムなどの希少金属を使用しない金属ターゲットで、ITOと同じプロセス(スパッタリング法)で成膜でき、ITOに比べて低コストで生産できる。さらに使用後のターゲット材は、同社の特殊溶解技術によって容易にリサイクルできる。
同社は今後、メタルメッシュ用ターゲット材を需要拡大が見込まれる車載用タッチパネルや電子黒板などの大型タッチパネルの分野での拡大を目指す。