小型作業機用2ストローク水素エンジンの安定運転に成功 丸山製作所が世界初

林業や農業用機械の開発製造を手掛ける丸山製作所は2023年11月24日、刈払機など小型屋外作業機(OPE)に搭載可能な小型2ストロークエンジンで、100%水素燃料での安定運転に成功したと発表した。OPE用2ストローク水素エンジンの安定運転は世界初だとしている。

2ストロークエンジンは、自動車などで使われる4ストロークエンジンに比べてシンプルな構造で、作業機を手に持ったり背負ったりするための小型軽量化が可能。また、排気弁や吸気弁などの動弁系を持たないため、メンテナンス性にも優れる。

しかし、2ストローク水素エンジンには、燃焼室内の残留ガスが火種となって自着火するプレイグニッションが起こるという課題があった。そこで同社は、プレイグニッションを防止するために、水素燃料をエンジンに導入する場所とタイミングを見直し、圧縮前の低温環境の燃焼室へ燃料を導入した。また、オフセットシリンダーを採用することで、高温の燃焼済みガスの残留を低減。さらに低温の空気のみで掃気工程を行うことで、燃焼室内の温度低減を実現した。これによりプレイグニッションを防ぎ、水素燃料での安定運転を可能にした。

このほか、潤滑オイルは、最も潤滑を必要とするコンロッドのクランクシャフト側ベアリングに直接オイルを供給できるようにし、現行エンジンと同等の8000rpm以上の高速運転も可能となった。

テストでは量産タイプの排気量80cm3、単気筒2ストロークガソリンエンジンをベースに試作機を作成し、水素燃料による安定運転に成功した。

OPE作業機でも、CO2排出削減のため、電動化が進んでいるが、過酷な条件下で長時間の作業が必要なプロ向け作業機では、すべてを電動化することは困難だといわれている。今回、安定運転に成功した小型2ストローク水素エンジンは、エンジンを真横にしたり逆さにしたりしても作業性に問題はない。また、水素を燃料としているので、排出するガスはほぼ水(H2O)となる。

同社では今後、カセットボンベから水素を供給する小型試作機の製作を進めていく。

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