- 2021-8-5
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- EV, Inmotive, Porsche Taycan, ローギヤスプロケット, ワッギングフィンガー, 変速機(トランスミッション), 差動装置(ディファレンシャル), 無段変速機(CVT), 電気モーター
電気モーターは自動車に適したトルク特性を有するため、一般的には変速機(トランスミッション)を必要とせず、EVの多くはギヤ比の固定された減速機を装備している。これに対してカナダのスタートアップ「Inmotive」は、1段よりも効率が高いというEV用2段変速機を発表した。
「Ingear」と名付けられたこの2段変速機は、減速機の第2段ギヤを置き換え、差動装置(ディファレンシャル)を取り囲むように設置されるチェーン式の変速機だ。Ingearは、無段変速機(CVT)のようにプーリーの幅を変えるのではなく、ローギヤ/ハイギヤの2つのスプロケットを切り換えることによってギヤ比を変更する。直径の大きいローギヤスプロケットは5つのセグメントに分かれている。ローギヤからハイギヤに切り換えるときは、ワッギングフィンガーと呼ばれるパーツがローギヤスプロケットを回転に従ってセグメント毎に次々と横へ移動させ、車軸が1回転する間にハイギヤに切り換わる。ハイギヤからローギヤへ切り換えるときは、この逆の動作が行われる。ギヤチェンジ中、チェーンは一時的にロー/ハイ両方のスプロケットに接触し、トルクを間断なく車軸に伝えることができる。
Inmotiveは、EVにIngearを採用することにより、航続距離を15%伸ばし、加速性能を最大20%向上させ、最高速度を20%上げることができるとしている。
EVへの変速機の搭載に関する議論は2019年の「Porsche Taycan」の登場の頃から本格化しているが、実装するEVはまだ殆どない。