MIT、触覚刺激を検知してマッピングするタッチセンサーグローブを開発

Credits:Image: Courtesy of the researchers

MITを中心とする研究チームは、圧力やその他の触覚刺激を感知できるタッチセンサーグローブを開発した。グローブの内側には、グローブ全体の圧力のわずかな変化を検出、測定、マッピングするセンサーシステムが取り付けられており、脈拍のような皮膚上に存在する微弱な振動を測定できる。脳卒中など運動機能障害のリハビリや、バーチャルゲームの機能拡張に応用できる可能性があり、研究の詳細は、『Nature Communications』に2021年8月5日付で公開されている。

このセンサーシステムは、2種の電極と装着者の皮膚によって構成されている。原理的には、2つの電極を誘電体で挟んだコンデンサー構造の湿度センサーに似ている。これは、誘電体が周囲の水分から電荷を帯びたイオンを吸収すると電極間の電荷量が変化することを利用して、湿度を測定するものだ。

この構造は、電極間の電荷量の変化を圧力に変換して測定するフレキシブル圧力センサーにも応用されている。しかしこうした圧力センサーは、誘電体がかさばり、感度にも課題があった。

そこで研究チームは、誘電体層として、皮膚から自然に発生する汗を利用することにした。汗にはナトリウムや塩化物などのイオンが含まれており、誘電体の代わりになる。コンデンサーのようなサンドイッチ構造ではなく、皮膚上にイオンを検出する電極と測定に使用する対極電極を置き、検出電極に圧力がかかると電極間の電荷量を測定できる仕組みにした。

また、電極の裏側に数千本の微細な通電性フィラメント(マイクロピラー)を設置することで、検出感度を高めることに成功した。マイクロピラーは電極の一部に圧力がかかるとその部分だけが反応して曲がり、皮膚からイオンが蓄積される。その量と位置を正確に測定することで、圧力をマッピングできる。また、センサーを装着した人が歩きながら手を振っても、正確な脈拍を測定できた。

さらに、マイクロピラーのコンセプトを応用して、通電性がある金属を布に吹き付けて電極とし、指先や手のひらなど内側全体に貼り付けた触覚グローブを作製した。被験者がグローブを装着して風船とガラスのビーカーをそれぞれ持つテストでは、グローブ全体の圧力のマッピングし、マップからそれぞれの作業中の詳細な圧力パターンを明らかにすることに成功した。

研究チームは、このセンサーシステムをバイタルサインの長期的モニタリング、運動時の解析、触覚障害者のリハビリなどウェアラブルデバイスへの応用を想定している。

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