歩行からより多くの電力を引き出す新たな圧電技術を考案

インド工科大学(IIT)マンディ校は、2020年12月7日、圧電材料の電力出力を向上させる新たな技術について発表した。この技術により、従来、考えられていた以上に、歩行といった日常生活の動作から多くの発電量が見込めるようだ。研究成果は、オンラインジャーナル『Engineering Reports』に2020年11月26日付で発表されている。

これまでの圧電材料は発電量が小さく、日常生活への応用が難しかったが、今回提唱された「graded poling(段階的ポーリング)」と呼ばれる手法では既存の圧電素子の出力を100倍以上に高めることも将来的に可能だという。

研究者らは、新しいポーリング処理の方向配置を提案している。応力を受けたときに機械的エネルギーと電気エネルギーを相互変換するような高度な圧電材料の電力出力を強化する設計で、ポーリング角度を素子の圧電下面から上面に向かって直線的に傾斜させることで、曲げ応力やせん断応力を効率的に利用できるようだ。シミュレーションの結果、従来の圧電方法と比較して15倍程度の発電力が確認されている。

新しい技術を活用した圧電材料を床タイルに設置すれば、その上を人が歩くことで電気エネルギーを発生させたり、道路に設置すれば車の通行によって街灯や信号機へのエネルギー供給に使える可能性がありそうだ。もちろんスマートデバイスへの応用も期待されるだろう。研究者らは、提唱した段階的ポーリング技術が材料の機械的特性に及ぼす影響をより正確に予測するため、さらなる研究を進めている。

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