- 2021-10-5
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- DentalSlim Diet Control, Paul Brunton, オタゴ大学, ダニーデン, 低カロリーダイエット, 減量器具, 肥満, 肥満外科手術
最近の研究によると、肥満に起因する死者数は世界で年間280万人に上り、2030年までに成人の肥満割合は57%に達すると見積もられている。世界的な肥満の問題の解決に向け、ニュージーランドのオタゴ大学とイギリスの研究者らは、減量器具「DentalSlim Diet Control」を開発した。
この器具を上下の奥歯に装着すると、磁石の力により口が2mmしか開かなくなる。装着した状態で呼吸や会話に支障はないが、食事は液体のダイエット食しか摂れなくなるというものだ。研究チームがニュージーランド南東部の都市ダニーデンで行った実験では、参加者の体重が2週間で平均6.36kg減少した。歯への取り付けは歯科で行うが、緊急の際などは使用者が取り外せる。
研究を主導した同大のPaul Brunton教授は「肥満外科手術が必要な人にとって、この器具は非侵襲的で費用も抑えられ、魅力的な代案になる」と説明する。減量のためにワイヤを使って顎を固定する施術が1980年代に流布したが、嘔吐(おうと)による窒息や歯周病になるリスクがあった。DentalSlim Diet Controlは装着者自身が取り外せるためより安全で、Brunton氏は「一定期間の低カロリーダイエットで新しい食習慣が身に付く。肥満解消に向けた第一歩になる」と、その効果を強調している。