FPGAの実習実験をリモートラボで――ドイツの大学が新型コロナウイルス対応で完全オンラインの公開講座を実施

独ボン=ライン=ジーク大学(H-BRS)は、新型コロナウイルス感染拡大防止に対応するため、FPGAによる画像処理についてリモートラボを使って学べる公開講座をオンライン受講できるようにしている。H-BRSのMarco Winzker教授は、工学研究における仮想での実習実験の重要性を強調している。

今回の講座期間は2020年4月15日~2020年6月15日。リモートラボは1年中利用可能で、講義の動画もYouTube上で提供されており、世界中のどこからでも受講できる。

リモートラボには実際にハードウェアがあり、学生らはインターネット上でリモートラボにある実機を使って実験を行うことができる。ラボにアクセスする前の準備段階で、学生らはハードウェア記述言語のVerilogとVHDLを使って画像処理アルゴリズムを記述し、設計ソフトウェアを使ってFPGA回路用にコードを変換する。その後、リモートラボにログインしてコードをアップロードし、自分の回路設計がFPGAでどのように動作するかを確認できるという。

リモートラボはインタラクティブに処理をするので、学生はインターネット経由で画像信号のアップロードやFPGAの入力スイッチ操作ができ、画像処理の結果はすぐに学生側に送り返される仕組みだ。

講義トピックの具体例として、FPGAを使用して車載カメラが撮影した動画から道路の車線を検出して画像処理するプログラムの方法や、画像を鮮明化するデジタルフィルターの作成といった内容が挙げられている。また、マイクロエレクトロニクス関連では2つのFPGAを比較して、それぞれの消費電力を調べるテーマなどが提供されている。

このリモートラボには、アルゼンチンの国立技術大学(UTN)と国立サンルイス大学、そしてウクライナのチェルニーヒウ国立工科大学が提携している。

既にフランス、モロッコ、スウェーデン、アメリカ、アルゼンチン、ウクライナなど世界30カ国から100人以上の学生がオンラインで受講しているという。FPGAを習得するだけでなく、英語でのコミュニケーション能力も要求されるので、学生にとっては将来のキャリアにおいても有用な機会であるようだ。

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