- 2021-10-14
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- ウェアラブルデバイス, スクリーン印刷, ディスプレイデバイス, ナノ銀ペースト, フレキシブル デバイス, 印刷配線用低温焼成ナノ銀ペースト, 微細配線, 田中貴金属工業, 電子デバイス
田中貴金属工業は2021年10月13日、スクリーン印刷用に最適化した「印刷配線用低温焼成ナノ銀ペースト」を開発し、サンプルの提供を開始したと発表した。30μm以下の微細配線で直接印刷ができるという。
印刷配線用低温焼成ナノ銀ペーストは、プリンテッドエレクトロニクス分野で主流な工法であるスクリーン印刷用に適したナノ/サブミクロンサイズの銀粒子を用いたペーストとなる。スクリーン印刷で配線の微細化や、従来よりも優れた曲げ耐性を有する配線ができるという。
スクリーン印刷では通常、50μm程度の線幅が印刷限界とされてるが、印刷配線用低温焼成ナノ銀ペーストに適した印刷機とスクリーン版を組み合わせることにより、細線印刷が難しいとされるガラスをはじめ、PETフィルムやグリーンシートなどその他基材にも微細配線(30μm以下)で直接印刷ができる。
ディスプレイデバイス、次世代自動車向けガラスヒーター、5G向け透明アンテナなど、透過性が求められる電子デバイスの高性能化と生産性を向上するという。
PETフィルム等の折り曲げられる有機基材に印刷した配線(印刷線幅100μm)は、折り曲げ半径0.5mmの屈曲試験で10万回の折り曲げでも断線しないことを実証。フレキシブル化と同時に耐久性が求められるスマートフォンやウェアラブルデバイスなど、フレキシブルデバイスへの適用が期待できる。
また、低温焼結タイプのナノ銀ペーストの中でも希少な低抵抗化を達成。加熱温度90℃付近で焼結した配線で抵抗値10µΩcmを下回っている。
スクリーン印刷用に最適化させたナノ銀ペーストとなっており、粒子径のコントロール、溶媒の選定、高分子化合物などの添加により、スクリーン印刷性能を高めると同時に、折り曲げに強い配線用のペーストとしている。汎用的なプロセスであるスクリーン印刷を用いた微細配線の採用により、生産性の向上が期待できる。
ガラスの曇りを防ぐための微細配線によるヒーティング技術、ヘルスケア関連のウェアラブルデバイス、景観を損ねない5G向け透明アンテナなどさまざまな電子デバイスへの寄与が期待できるという。サンプル提供は開始しており、量産開始は2022年内を目指している。