太陽光で二酸化炭素を燃料に変換できる可能性がある手法――先端材料と超高速レーザー分光法を使用

PHOTO: PAVEL CHABERA

スウェーデンのルンド大学が主導する研究チームが、先端材料と超高速レーザー分光法を使って、太陽光エネルギーにより二酸化炭素を燃料や有用な化学物質に変換できる可能性がある方法を示した。この研究の詳細は、『Nature Communications』に2022年2月11日付で掲載されている。この技術は、将来的に大気中の温室効果ガスのレベルを引き下げることにつながる可能性を秘めているという。

同大学自然科学部化学物理学科のTönu Pullerits教授によると、研究では、太陽光を吸収し、そのエネルギーを用いて二酸化炭素を変換する材料を組み合わせて使用した。Pullerits教授は「超高速レーザー分光法を活用して、私たちはプロセスの中で何が起きているかを正確にマップした」と語っている。

研究者らは、共有結合性有機構造体(COF:Covalent Organic Framework)と呼ばれる多孔質有機材料を研究してきた。この多孔質材料は太陽光を効率的に吸収することで知られている。このCOFにいわゆる触媒錯体を加えることで、エネルギーを追加せずに二酸化炭素を一酸化炭素に変換することに成功した。

一酸化炭素への変換には電子2個が必要であり、研究チームの一員で化学研究者のKaibo Zheng氏は「青色光の光子が高いエネルギーレベルの長寿命電子を生み出すことを発見したとき、COFに電子をチャージするだけで、反応を完結させることができた」と話す。Pullerits教授とZheng氏は、将来、太陽光を使って大気中から回収した二酸化炭素を燃料または化学物質に変換するような大型装置の開発に、今回の発見が活用されることを期待している。

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