- 2022-8-2
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- 2DMAT, 2次元物質, TRHEPD, ソフトウェア, データ解析, 並列モンテカルロ型ベイズ推定, 全反射高速陽電子回析, 東京大学, 構造解析, 研究, 量子ビーム計測技術, 高エネルギー加速器研究機構(KEK), 鳥取大学
高エネルギー加速器研究機構(KEK)は2022年7月29日、鳥取大学と東京大学、KEKの共同研究グループが、2次元物質構造解析のための量子ビーム計測技術向け汎用データ解析ソフトウェア「2DMAT(ツーディーマット)」を共同開発したと発表した。本ソフトはWEB上で公開され、誰でも無償で利用できる。
原子数層の厚みしかない極めて薄い物質である2次元物質は、3次元物質とは異なる低次元の原理によって新機能を発現することから、次世代触媒や次世代超高速電子デバイス材料などへの応用が期待されている。これまでは、2次元物質に対する計測技術が十分に確立されていないため、詳細な原子配列などの構造決定が難しかった。しかし、量子ビームを用いた表面構造解析技術の発展により、構造決定が可能になりつつある。
今回開発した解析ソフトウェア2DMATは、量子ビーム計測技術に対して、並列モンテカルロ型ベイズ推定などのデータ駆動科学を駆使した先進的な解析手法を提供するものだ。
2DMATと最新の量子ビーム回折法である全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を組み合わせることで、複雑なデータ構造の中に潜む真の構造を短時間で探索できることを示した。2DMATは、TRHEPD法の他に、X線回折法、電子回折法との組み合わせおよび2DMAT単独での利用が可能だ。
同解析ソフトウェアによって、今後2次元物質を対象とした新材料の開発や産業利用向けの応用研究に弾みがつくことが期待されるという。