東京理科大学は2022年11月4日、工学部機械工学科の研究グループが、曲面への貼り付けが可能で壁面せん断応力と空気が流れる方向を同時に計測できる、小型で極薄のシート型流れセンサーを開発したと発表した。各種流体機械の性能向上や環境負荷の低減に貢献すると期待されている。
開発したセンサーは、厚さ数十μmのポリイミド基板の上に、壁面上の空気の流れの向きと壁面せん断応力を計測する複数のセンサーを統合。中央にある直径1mmのヒーターの熱損失から壁面せん断応力を測定し、その周囲に設置された3対の温度センサーアレイで流れの方向を測定する。
100m/sを超える風速下で壁面せん断応力と流れの方向を同時に計測できるフレキシブルな流れセンサーはこれまでなかったが、今回のセンサーは最大170m/sまでの風速で、さまざまな角度の流れを計測できる。
物質の表面では流体の粘性によって摩擦が働き、場合によっては流れが壁面から剥がれる「剥(はく)離」と呼ばれる現象が発生する。剥離が生じると抵抗が増し、エネルギー損失量が大きくなるが、その予測と制御は非常に難しく、壁面近くの流れや壁面せん断応力を簡単に計測できるセンサーも開発されていなかった。
同大では、今回開発したフレキシブルなシート型流れセンサーの応用範囲は非常に広く、ポンプや送風機、圧縮機、タービンなど各種流体機械の性能向上が期待できるとしている。
研究グループは今回の原理を応用して、液体の流れを計測するセンサーや人の体に貼り付けるセンサーの開発にも取り組んでおり、今後、人から流体機械まで幅広い対象の物体表面流れの計測を実施する。
今回の研究成果は2022年8月12日、国際学術誌「Micromachines」にオンライン掲載された。