- 2022-11-14
- 技術ニュース, 機械系
- Scientific Reports, カスプ, プラズマ加速, 大電力電気推進機, 宇宙探査機, 宇宙推進機, 東北大学, 無電極プラズマ推進機, 研究
東北大学は2022年11月9日、宇宙探査機などに用いられる無電極プラズマ推進機の推進効率を、約30%まで向上させる技術を開発したと発表した。イオンエンジンやホールスラスタに続く次世代の大電力電気推進機実現への寄与が期待される。
無電極プラズマ推進機は、高周波プラズマ源と磁気ノズルによるプラズマ加速を経て、宇宙空間へ燃料を噴射し推力を発生させる仕組みで、次世代の大電力宇宙推進機として期待されている。しかし、推進効率の向上など課題も多い。
同大学大学院工学研究科のこれまでの研究で、プラズマ発生部でプラズマが壁面へと接触することでエネルギーや粒子の損失を引き起こしていることを発見。そこで、推進器のプラズマ発生部にカスプと呼ばれるプラズマ閉じ込め磁場構造を印加し、壁面でのエネルギー損失の抑制を図った。
この構造を用いて室内実験を行った結果、高周波電力から推進エネルギーへの変換効率が、従来の20%から約30%に向上。さらに理論モデルを用いて実験結果を説明できることを示した。
大学は今後、作動環境の影響の検証やエンジニアモデル、プロトタイプの開発のほか、関連する物理現象の解明を国際共同研究も含めて進めていく。
研究成果は2022年11月10日、英国科学雑誌Scientific Reportsオンライン版に掲載された。