【実機レビュー】よりパワフルになったRaspberry Pi 5を検証!

発表になったRaspberry Pi 5

ついに発表になったRaspberry Pi 5。Raspberry Pi 4 Model Bが発表されたのは2019年6月でした。その前のRaspberry Pi 3 Model Bが発表されたのは2016年2月でしたので、今回の登場は少し遅いタイミングとなりました。このため、新しいRaspberry Piを待ち望んでいた人も多いと思います。

Raspberry Pi 5についてはさまざまな所で報じられているので、概要についてはご存じの方も多いかもしれません。改めて整理しておくと以下のようになります。

Raspberry Pi 5とRaspberry Pi 4 Model Bのスペック比較


左がRaspberry Pi 5、右がRaspberry Pi 4 Model B

何といっても大きな変化はSoCの進化でしょう。SoCが最新のBroadcom BCM2712(4コア/2.4GHz、Arm Cortex-A76)に変更されたほか、駆動周波数もRaspberry Pi 4の1.5GHzから2.4GHzへと大幅にアップ。これにより処理能力が大きく上がっています。

ところで今回、スイッチサイエンス様のご厚意により、発売前のRaspberry Pi 5を借りることができました。そこで本体回りやその性能について見ていきたいと思います。

本体回りを見ていく

まずは上部基板から見ていきましょう。中央の銀色の部分がSoCです。その右上にある、ラズパイアイコンが印刷されているチップが新しく導入された「RP1 I/Oコントローラー」です。RP1 I/OコントローラーはUSB 2.0とUSB 3.0の2個ずつのポート、ギガビットイーサネットコントローラー、2個の4レーンMIPI、アナログ映像出力、GPIOを管理します。

Raspberry Pi 5上部基板


SoCとRP1 I/Oコントローラー

カメラ入力と映像出力のMIPIインターフェースが変更になり、Raspberry Pi Zeroと同じピッチの22ピンMIPIインターフェースが2つ用意されます。このMIPIインターフェースはカメラ入力と映像出力が共用となっており、カメラ2台またはディスプレイ2台、カメラ+ディスプレイという使い方ができます。またこれに伴い、音声/映像出力のための3.5ミリジャックが廃止されています。

MIPIインターフェース

そしてこれまで映像出力のMIPIインターフェースがあった場所に、PCIe2.0×1のインターフェースが用意されました。こちらには別途発売されるM.2 HATを利用してM.2ストレージが取り付けられるようになります。またPCIeインターフェースの横に電源ボタンが用意されました。これは電源を入れていったんラズパイをシャットダウンしたあと、もう一度起動する際に利用します。

PCIe2.0×1のインターフェース


電源ボタン

USBと有線LAN用のRJ45コネクターですが、Raspberry Pi 2/3と同じように有線LANコネクターが左に戻りました。

また、Raspberry Pi 5ではリアルタイムクロック(RTC)が実装されました。場所はUSB Type-Cコネクターの上にある電源管理ICの中です。このICはRTCのほか電源ボタンなども制御しています。なおRTC用のバッテリー(電池)も発売されることが決定しています。

このほか電源とHDMI OUT周りの配置は変わりませんが、電源供給がこれまでの5V3Aから5V5Aへと変更になっています。5V3Aでも動作しますが、USBに機器を接続すると電力不足になります。これが結構問題で、現在ラズベリーパイ財団の認証を受けているACアダプターは1つありますが、PSE(電気用品安全法)認証を通っていないため日本では使えません。国内代理店であるKSYは、ラズベリーパイ財団の認定を得たPSE準拠のACアダプターを発売するとしています。

USBポート回りのコネクター配置

電源制御IC

上部基板だけでなく背面基板も掲載しておきます。

背面基板の構成

ベンチマークテストで実力を知る

ではRaspberry Pi 5について、定番のUnixBenchを走らせてみた結果が以下の通りです。Raspberry Pi 4 Model B(以下、Raspberry Pi 4)、Raspberry Pi 3 Model B+(以下、Raspberry Pi 3)と比較してみました。Raspberry Pi 5の搭載メモリは8GBでしたので、Raspberry Pi 4についても8GB版を使っています。

なお検証したRaspberry Pi 5は技適を通っていませんので、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の届け出を出した上で検証しています。

グラフを見ても分かりますが、1コアではRaspberry Pi 5はRaspberry Pi 4のダブルスコア以上、4コアでもほぼダブルスコアという結果です。いちばんの原因は駆動周波数が向上したためと思われますが、これほど差が付くのかと思いました。Raspberry Pi 3は言わずもがなですが、性能向上の歴史が見えるようで興味深いですね。

UnixBenchの結果

極めて高い性能を発揮したRaspberry Pi 5

ベンチマークテストの結果でも分かりますが、Raspberry Pi 5はRaspberry Pi 4に比べてかなり高い性能を発揮していました。消費電力が上がっているのが気になるものの、これだけの処理能力があるので、AI分野などでも活躍の場が広がっていくものと考えられます。日本での発売はまだ先のようですが、一日も早く手に入れて、さまざまなことをやらせてみたいものです。

企画協力:スイッチサイエンス

fabcrossより転載)

関連情報

【実機レビュー】よりパワフルになったRaspberry Pi 5を検証!(掲載元: fabcross)


ライタープロフィール
岩泉 茂

Raspberry Piと出会ってから7年。最初はArduinoに傾いていたが、Pythonにハマるうちにラズパイ一筋へ。そして小学校の時の電子工作熱が再び燃え上がり、GPIOを使って面白いものを作るのが楽しみとなる。あとこっそりとテツ。乗りテツ4割、模型テツ3割、撮りテツ2割、音テツ1割。今はラズパイで鉄道模型をコントロールすることに夢中。あとゆるいキャンプのアニメに触発されて、こちらもまた高校生以来のキャンプ熱再燃。コロナのおかげで行きづらくなったが、隔月くらいでキャンプしたいと思っている。

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