「人型ロボットを開発する」という夢を実現するための最短ルートは?


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


ソフトバンクが手掛けたパーソナルロボット「Pepper」が話題となり、トヨタ自動車も医療・介護・生活・仕事の場面で人間を助けてくれるパートナーロボットを開発中です。

ドラえもんやガンダムで育ち、「いつか、ロボットを開発したい」と夢見ていた技術者の中には、最近のニュースを聞いて「ここに来て、ついにロボットが次世代の巨大産業となるのか」と期待している人もいるかもしれません。

ですが、文字どおり“次世代”になればともかく、少なくとも数年のうちにPepperのような人型ロボットが、一大産業へと成長することは難しいだろうと私は見込んでいます。

例えば、単身者が寂しさを紛らわせるためにロボットと対話したいのなら、ASIMOのようなはっきりとした人型がいいのか、それともRobi/Robi jr.のようなデフォルメした形がいいのか。介護に使うロボットにしても、人型ロボットが必要なのか、それともCYBERDYNEのような人間が装着するタイプのサイボーグ型ロボットが主流になるのか、まだ分かりません。日常生活の中でロボットを有効活用できる最適な使い道が見つかるまで、相当の時間がかかると考えています。

実際、次世代のロボット開発に着手したメーカー各社は、ロボット関連の求人情報をほとんど表に出していません。しばらくは試行錯誤を繰り返し、ビジネスチャンスを探るフェーズが続くのではないでしょうか。

広義の“ロボット”の中には、産業として成長中のものも

ただ、「ロボット」と言えば、どうしても人型ロボットを思い浮かべてしまう人が多いと思いますが、ロボットは人型のものばかりではありません。

Siriのような音声認識・対話機能を備えたアプリや、目的地まで自動的に運転してくれる自動運転車(ロボットカー)など、人型をしていない広義の“ロボット”もあります。

実は、広義の“ロボット”の中には産業として既に確立し、市場が急成長中のものもあるのです。

産業用ロボットに携わることこそ、夢をかなえる近道に

それは何かと言うと、産業用ロボットです。工場の製造ラインで使われる産業用ロボットへのニーズは、ここ数年でますます高まっています。

「人件費の安い中国で製造していれば、産業用ロボットを導入するより安上がりだ」と考えていたメーカーも少し前まではあったかもしれませんが、中国の人件費は急速に上昇しています。

工場での製造を自動化して経費を削減しようとする企業は非常に多いため、以前から産業用ロボットを開発・製造していたメーカーだけでなく、重工、電気設備、工作機械などのメーカーも産業用ロボットの開発に乗り出しているのです。

先ほどもお伝えしたように、PepperやASIMOなど、人型ロボットの開発プロジェクトに携わる人材を公募しているメーカーはほとんどありませんが、産業用ロボットを開発できる技術者を求めている企業は、その数を増やしてきています。「ロボットを開発したい」と考えている技術者にとっては、まずは産業用ロボット開発に携わって技術・ノウハウを蓄えておいて、人型ロボットが本格的に普及する段階になってからそちらに移った方が、自分の夢を実現できる可能性は高くなるかもしれません。

それでは具体的に、産業用ロボットメーカーは、どのような職種・業務で技術者を求めているのでしょうか。そのあたりの話を次回、取り上げたいと思います。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
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