3Dプリンターを使い世界最高性能のスーパーキャパシタを作製 東北大など研究G

東北大学は2022年4月22日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校との国際研究グループが、3Dプリンターを用いて設計した多重細孔炭素電極材料を使い、世界最大級のエネルギー密度と出力密度を持つスーパーキャパシタの作製に成功したと発表した。研究成果は4月21日の独科学誌Advanced Functional Materialsにオンライン掲載された。

研究グループによると、コンピューター上でジャングルジムのような形に設計した樹脂を市販のステレオリソグラフィー(光造形)型3Dプリンターを用いて印刷。その樹脂を焼成、活性化処理を行うことによって、直径150µmの規則的マクロ孔と直径2~3nmのナノ孔の多重細孔構造を持つ炭素材料の作製に成功した。

この材料を使えば、従来の蓄電デバイスに比べ10倍以上の厚みのある電極でもイオンの高速移動が可能となる。さらに炭素表面をマンガン酸化物の層で覆った材料を作製することにも成功した。

研究グループでは、この多重細孔マンガン酸化物電極と多重細孔炭素電極と組み合わせてスーパーキャパシタを作製。電極面積あたりで世界最大級のエネルギー密度と出力密度の両立を達成した。

今回成功した技術を使えば、エネルギーを貯める役割を果たしていない集電体やセパレーターの使用量を減らすことができ、デバイスの小型化や高エネルギー密度化への応用、コスト削減が期待できるという。

スーパーキャパシタは、風力や太陽光など出力変動の大きい再生可能エネルギーの利用推進に向けて、電力負荷平準化のための大規模エネルギー貯蔵デバイスとして注目されている。エネルギーデバイスは電極シートを厚くすることでエネルギー密度を向上できるが、厚い電極内ではイオンが十分な速度で移動できず、出力密度が大きく低下するという欠点があり、高いエネルギー密度と出力密度の両立が課題となっている。

研究グループでは「今回作製した電極材料はミリメートルサイズだが、より大きなサイズのものを作製できるようになれば、大規模エネルギー貯蔵デバイスに応用でき、実用化が可能になる」としている。

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