外資系人材紹介会社のヘイズ・ジャパンは2016年5月27日、「ヘイズ・ジャーナル」の最新号を発刊した。同紙では、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)といったSTEM分野での人材不足について取り上げ、STEMの早期教育実施に対する長期的な取り組みが必要だと提言している。
ヘイズ・ジャパンは、生産力と国際競争力を高めるにはSTEM職の人材が欠かせないと言及。2015年に発表されたPwCの試算によると、オーストラリアでは労働者のわずか1%がSTEM職に移行するだけでGDPが574億豪ドル伸びるという。
先進製造、デジタルエコノミー、グリーンエネルギーなど、成長セクターがさらに拡大するには、STEMの専門知識を持つ人材が不可欠だ。しかし、これらの業界では需要と供給のミスマッチが悪化の一途をたどっている。
英国雇用・技能委員会の報告によると、英国ではスキル不足が原因で、科学、研究、工学、技術分野の求人の43%が埋まっていないという。ヘイズの調査研究「グローバル・スキル・インデックス」では、日本における人材の需要と供給のミスマッチが2年連続で悪化しており、日本がアジア・太平洋地域で最も「人材が探しにくい国」だと浮き彫りになった。
子供に対するSTEM教育の必要性は、ビジネスリーダーの間で長年議論の的になってきた。例えば、W S Atkinsの重役であるAllan Cook氏は「中学生になってからでは遅すぎるくらいです」と述べ、「8~9歳くらいから、子供の工学に対する情熱を喚起することが求められます」と主張する。
多国籍電機メーカーHoneywellの人事ディレクターを務めるCaroline Bosch氏も「コーディングについては、読み書きと同じように、早い段階から優先的に学ばせる必要があります。現時点では、11~12歳になるまで子供たちがこれらの教育を受けることはありません。しかし、同分野に関する論文や調査を見ると、それでは遅すぎることがわかります」と、Cook氏と同様の意見を示した。
ヘイズ・ジャパンは、雇用のミスマッチを解消するには子供たちが小学生の頃からSTEM関連の教育に触れる必要があるとしている。