- 2024-3-19
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- UV-Cランプ, オーク製作所諏訪工場, 岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛, 工学院大学, 研究, 超ワイドバンドギャップ半導体
工学院大学は2024年3月18日、同大学とオーク製作所諏訪工場の研究グループが、岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛を用いたUV-Cランプの試作に成功したと発表した。同大学によると世界初となる。
波長280nm以下のUV-C光は、殺菌や水処理、半導体プロセス、さらに医療分野などで活用されている。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、UV-C殺菌灯の普及も進んだ。殺菌用では265nmや285nmの深紫外発光ダイオードが使用される。これらは窒化アルミニウムガリウム系半導体を使って作製されており、実用に耐え得るのは230nm以上に限られている。220nm以下の光源では、低圧水銀灯やエキシマランプなどが未だに主流であり、環境や人体などへの負荷が少ない光源の開発が求められている。
今回の研究では、新しい超ワイドバンドギャップ半導体として注目されている岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛を発光用材料として採用した。同材料は、酸化マグネシウムと酸化亜鉛の混晶で、混晶比を変えることで発光波長を変化させることが可能だ。石英ガラス製のランプバルブを製作し、ランプバルブ開口端部にフリットガラス材を用いて、岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛多結晶膜を溶着。放電ガスとしてクリプトン(Kr)ガスを封入した。
作製したランプ試作品の発光特性を調べたところ、発光のピーク波長は202nmで、同材料由来の発光であることも確認できた。今回の研究結果により、環境や人に優しいUV-C光源の社会適用が期待されるという。
今後、岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛の混晶比を変化させることで、さらに短波長域のランプの実現を目指す。