ルネサス エレクトロニクスは2016年8月25日、スマートメータを中心とした電力メータ向けに、国際標準規格DLMSへの対応に必要なセキュリティ機能や演算性能を強化したマイコン「RL78/I1C」を発売した。
新製品のRL78/I1Cは、従来品「RL78/I1B」の計測精度や低消費電力を継承。その上で、AESハードウエア・エンジンを搭載してAESのGCMモードをハードウェア化することで、暗号・復号演算の速度を従来比20倍以上に向上。また、PLLの搭載により動作周波数を最大24〜32MHzに高めた。
さらに、32ビット乗算・積和演算器搭載により、24ビットΔΣ型A/Dコンバータで変換した24ビットデータにおけるソフトウェア電力演算の負荷を大幅に低減したほか、電力演算で必要となる演算性能を約30%向上した。
これに加えて、最大256KBまで拡張されたROMに電力量計測処理とDLMS処理のコードを格納することにより、電力量計測処理とDLMS処理を1チップで実現。従来の電力計測用マイコンとDLMS処理専用マイコンによる2チップ構成に比べ、消費電力を約30%低減した。
他にも、イベント・リンク・コントローラ機能の搭載と位相調整機能の強化により、24ビットΔΣ型A/Dコンバータ4チャネルと10ビット逐次変換型A/Dコンバータ3チャネルを連携し、三相4線で必要となる7チャネルの電流/電圧の測量を実現。従来の単相2線から三相3線までに加えて、三相4線メータの対応が可能になった。
また、動作時の消費電流0.7μA(Typ.)を実現した独立電源リアル・タイム・クロックを搭載。バッテリ・バックアップ機能による電源監視機能を強化することで、停電中のCPUや周辺機能の動作などの特長もRL78/I1Bから継承・強化した。
なお、初期検討段階にてメータアナログ評価キットを使用することで、RL78/I1Cはプログラムの作成なしで特性の評価を開始可能。また、メータ開発段階においてメータリファレンスキットの使用により、メータのハードウェアのほか、計測機能や信頼性の高いDLMSライブラリなど、各種ドライバを揃えているため、ユーザ独自の開発に比べて開発期間を約25%短縮できる。